ポスターで一目惚れ
先日ひさしぶりに映画を観にいったとき
館内に貼ってあったこちらのポスターを見かけ
キラキラした瞳&いい笑顔だなぁ。
ポスターには「都会から来た若い先生との心の交流」とあり、
この彼女の学ぶことへの喜びやワクワクが伝わってきます。
ブータンの映画とは珍しい。
なんでも、ここに登場する子どもはブータンの秘境と呼ばれる
標高4800mのルナナ村で実際に暮らす子どもたちだとか。
4/3から全国上映が始まっているので、もうそろそろ上映も終わりそう。
よし、観るなら今のうち!
おかえり
ということで、再びシネスイッチ銀座へ。
この映画の上映は10:15からの1日1回のみ。
お盆中ということもあり、チケット売り場は列ができています。
前回は1階でしたが、今回は2階での上映
場内へ向かおうとすると「おかえり」の文字
見透かされている?
ざっくりあらすじ
オーストラリアへ渡って歌手になりたい主人公ウゲンは、
教員の仕事にやる気を失っている。
そんなある日、ウゲンは上司に呼び出され、
標高4800mのルナナ村の学校へ赴任するように命ぜられ。
ルナナ村まではウゲンの住む首都ティンプーから7日かかる世界の秘境とも言われる地。
しぶしぶルナナ村で教員をすることになったウゲン。
ガザまではバスで1日、そこから先はルナナ村から来た案内役+ラバ3頭と
一緒に歩いて山を超えていきます。
街育ちのウゲンは携帯をいじりヘッドフォンを離さず、山歩きに愚痴をいう。
1週間かけてたどりついたルナナ村では、村人総出で新しい先生を歓迎します。
先生が来ることを知った、隣村の子どもも一緒に学ばせて欲しいと挨拶へやってきます。
それほど、この地域にとって先生は特別な存在。
子どもたちは先生が来ることを楽しみにしていました。
電気も通っていない、学校には黒板も紙もない、ないないづくしの環境の下、
心温かい村人や学びたい思いのつまった真っ直ぐで純粋な子ども達と触れ合うちに
ウゲンは少しずつやる気になっていきます。
黒板を作ってもらったり、街の友人にお願いして教材を送ってもらったり。
子どもたちと一緒に歌たい、
村一番の歌い手から「ヤクに捧げる歌」を教わったり。
そして季節は秋へ、もうすぐ山が閉ざされてしまう冬が近づいてきます。
感想
ブータンは公の場では民族衣装を身につけることが義務づけられているとのこと。
民族衣装で歩く街ゆく人たちの印象しかなかったのですが、
ティンプーで暮らすウゲン(主人公)が夜、友人たちと普段着で飲んで歌って
ワイワイ楽しんでいる姿は、ごくごく普通の若者そのものです。
ウゲンがルナナ村へ行っている間にオーストラリア行きの手続きをしてくれた、
ティンプーでの親友を演じていたガッチリ体格の役者さん、
友だち思いの優しそうな雰囲気が印象的でよかった。
それと、ウゲンがバスで出発する際、「向こうは寒いからこれを食べて」と渡していた
白い味の様な食べ物(「ドュマ」と言ってたかな?)が気になった。(食べてみたい)
ルナナ村での案内役のミチェンは、オーデションでの演技を気に入った監督が
彼のために特別につくった役とのこと。
当初なかった役ではありますが、ミチェンは主人公を優しく支える重要な役。
大自然とともに暮らすルナナ村の村人らしい自然への畏敬と
慈しみ、思いやりのある眼差しの演技は、
彼本来の持ち味が出ているんだろうなぁと思いました。
この映画の役者さんは皆オーディションで選ばれた、映画デビュー作というのがびっくり!
(ルナナ村はミチェンと歌い手セジュ以外は実際の村人が演じているそう)
ポスターで一目惚れした女の子はルナナ村で暮らす現地の子どもは、
役名=本名のペム・ザムちゃん。
学級委員で利発そうなしっかり者、みんなの前で少し照れながら歌を披露する姿は
たまらなくかわいい!!
ペム・ザムちゃん、ルナナ村を出たことがなく、車も見たことがないそうですが、
この映画がきっかけで現代の生活に触れていくことになるのか。
海外へいくつもりだと話すウゲンに村長が言った
「ここは世界で一番幸せな国と言われるが、きみも外へ出ていくのか」
ルナナ村は電気もネットもない、大自然に囲まれた生活。
だからこそ、村人たちの温かさや子どもたちの純粋さとあの瞳の輝きなのだろう。
でも、ペム・ザムちゃんがいつか車に乗ることを夢見るように、
村長が、きみ「も」と言うように「世界で一番幸せな国」と言われる国の若者は
自国を出て海外で暮らすことを夢見る。
「豊かさとはなんだろう」と考えさせられる一言です。
(外に出て、他を見ることでわかる故郷のよさもありますが)
大自然の風景とキラキラした純粋な子どもの瞳、温かい村人たち。
山に響く「ヤクに捧げる歌」が印象的でした。
上映期間が終わる前に観れてよかった!
おまけ
ブータンといえば、代々木上原にあるブータン料理のお店「ガテモブタン」に
随分前に行ったことがあります。
料理にはとにかく唐辛子が入っていて、チーズと一緒に煮込んだ料理は
発想が珍しく、唐辛子が辛いけど旨味のある辛さで美味しかった覚えがあります。
辛いけど美味しい!と唐辛子をバクバク食べすぎて、
だんだん辛さの方が増して鼻の頭から大量の汗が吹き出してきた覚えも。
あの辛さ、また食べたくなってきました。