読んだ本のはなし 「読者ハ読ムナ(笑)」

読んだ・観たはなし
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読んだ本のはなし

映画はあまり観ないけれど、本は月に5,6冊程度読みます。
(とは、言ってもドラマや映画をほとんど観ないように、小説は最近あまり読まないのですが)

読んだ本のはなしは私が「おもしろい!」と感じた本を紹介します。

読者ハ読ムナ(笑)の読者になってみた

この本は漫画家の藤田 和日郎さんの下へやってきた、
漫画家志望の新人アシスタントが漫画家デビューするまでを描いた物語です。

藤田さんと担当編集の武者さんがそれぞれの立場でどのように声掛けをしていったか、
その声掛けを通して、新人アシスタントが何を学び変化していったのか。

本の帯にもありますが
「新人アシスタントの育成術を公開」しています。

漫画はストーリーはもちろんのこと、絵の構成や見せ方も自分自身で考えて
作り上げていくかなりマルチな創作活動。
そんな漫画家の裏話とも言える育成術、「読むな」と言われると
よけいに読みたくなってきます。

他人がしていることに興味を持て

帯にも「新人アシスタント育成術を公開」と書いてあるだけあって、
ストーリーは漫画家としての心構えや良い作品を作るための考え方が藤田さん、
武者さんの言葉を通して語られています。

漫画家を目指している方はもちろん、
藤田さんの新人アシスタントとしてこの職場で仕事をしていく上での心構えや、
担当編集の武者さんとのやりとりは普段の生活のヒントになる考え方がありました。

ムクチキンシ

一般的に仕事中職場でおしゃべりをしていると怒られそうなものですが、
藤田さんの職場は「ムクチキンシ」

どんなことでもリアクションシアなきゃいけないし、おれや、キミもの先輩のアシスタントが何かしているのを見たら「なんですか、これ?」とかでいいから、とにかく口に出して会話してほしい。それは、強制。

それも「思ったとおりのことをすぐ言う」のではなく

「相手と会話のキャッチボールをしろ」

仕事は集中してしたいところではありますが、この現場は
「とにかく周りに興味関心を示して積極的にコミニュケーションをとっていけ!」
ということなんでしょう。

「ムクチキンシ」で積極的に会話することで、先輩アシスタントや藤田さんの考え方、
行動の意味を理解し学ぶと同時に、将来漫画家となったとき、
編集者さんや周囲の人たちと良好な関係性を築く力になるということでしょうか。
(漫画は描いて終わりではなく、その作品が世に出るまでには各方面の方と
やりとりする必要がありますし)

本書の最初に出てきたこの言葉は衝撃的でした。

「自分」と「自分の意見」を切り離す

みんなで映画を観て語る「自分」と「自分の意見」を切り離す訓練、という話に続きます。
同じ映画を観ても感じ方はひとそれぞれ。自分が好きと思ったシーンを誰かが批判していたとしても、
それは評価が違うだけで、決して自分の人格を否定しているわけじゃない。

そいつの見かた、その理由をちゃんと聞けるようになんにといけないぜ

新人アシスタントさん、「ムクチキンシ」で培われた会話力も向上できる場ですね。

藤田さんが語る「自分」と「自分の意見」を切り離すことの大切さ、
普段の生活の中でも意見が合わない時など反対意見が出ると、
つい「ムッ」としてしまいます。

でも、別に人格を否定されているわけではない、
その人なりの思うところがあってのこと。お互いの話を聞いて違いを認めて納得する
ここまでできたらさらっとできたら理想ですけど。
まずは自分を俯瞰して切り離すことから意識できれば、です。

それぞれの立場で育成する

本書の前半は漫画家としての心構えを中心に、
後半にかけて作品を作る上での考え方、最後にオリジナリティについて
藤田さんと武者さんの言葉を通して語られています。

漫画家の大先輩として新人アシスタントへ向ける思いと言葉。
担当編集という立場から、たくさんの漫画家志望の新人と接してきた武者さんが
新人アシスタントへかける言葉。
(編集者と漫画家さんのやりとりって、知る機会がないので興味深かった)

それぞれの立場や視点で語られる言葉、その言葉を吸収し成長していく新人アシスタント

新人アシスタントが直接語る言葉はありませんが、藤田さんや武者さんの言葉を通して
徐々に進化していく姿は「がんばれー!」と応援したくなります。

この本は漫画家志望の方だけではなく、新人さんや人を育てる立場にある人はもちろん
日々の生活に役に立つ視点がかかれている、時々その言葉を読み返したくなる本でした。

付箋もたくさんつきました


おまけ

この本、内容はおもしろくて読み出すとグイグイ読めるのですが、
途中本を読むことを中断してから再度読み始めるまで
なかなか手が伸びにくい本でした。

なぜかなぁ考えたところ
私が本文のレイアウトに読みにくさ(ストレス)を感じていたことに
しばらくたって気が付きました。

本の内容は全て藤田さんと、武者さんが新人アシスタントに向けて
語っている言葉なのですが、紙面全体に言葉がぎゅうぎゅう詰まっているようで
視覚的に窮屈さを感じたようです。

それは翻って約300ページにぎっちりこめらた新人アシスタントへ向ける
藤田さんと武者さんの思い(言葉)ということなんでしょうけどね。

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